亜麻(リネン)のミニ知識

亜麻は英語でフラックス、これを繊維化したものをリネンと呼びます。亜麻は人類最古の繊維原料で、古代エジプトのピラミッドの壁画には亜麻の加工風景が描かれています。旧約聖書にも新約聖書にも頻繁に出てきますし、十字架刑ののち復活したイエスの墓穴には「亜麻布が残されていた」という記述もあります。

日本、とくに北海道では明治時代から亜麻は繊維の主原料でした。本当はユネスコの「産業遺産」に登録されてもよいのですが、現存する亜麻工場はいまやありません。戦後は化学繊維に押されて、昭和43年を最後に日本から亜麻畑も亜麻工場もなくなってしまいました。だから、50歳台以下の人が亜麻を知らないのはやむをえません。

北海道では10数年前から実取り用の亜麻栽培が当別町を中心に始まりました。亜麻の実から健康に良いとされる油(亜麻仁油)が取れるからです。道北の音威子府村には亜麻仁油原料の販売目的で数10ヘクタールの亜麻栽培をやっている農家がいます。ラ・フォルケッタではこの農園から亜麻の実を仕入れ、道産小麦とともにパン生地に入れて焼いています。コース料理に出されるプチパンがこれです。

亜麻の本来の用途は、前述のように繊維の原料です。亜麻の茎から繊維を取り、いろんな太さの糸をつくります。太くて強靭な糸はテントや亜麻袋などに使われます。細い糸はハンカチやシーツ、タオルなどに使われます。ヨーロッパの高級ホテルに使われている寝具や浴着はすべてリネンです。これらのリネンを収納する部屋がリネン室で、日本の高級旅館でも布団部屋のことをリネン室と呼んでいます。

肌ざわりが良いので、女性の下着にも使われます。フランスの高級下着にランジェリーというものがありますが、フランス語でランはリネン、ジェリーは下着を意味します。

亜麻の花には薄紫、白、ピンクなどがありますが、当園の亜麻は薄紫色の一年草です。観賞用の亜麻には多年草のものもあり、苗は園芸店で売っています。どちらの亜麻も、早朝日の出とともに咲き出し、昼過ぎには散ってしまいます。可憐ですが儚い花で、まさに美人薄命です。花の見頃はわずか2週間ですが、その後は「亜麻色の実」になります。

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